「はい、静かに。少しお話があるので、聞いて下さいな」
後ろ向きの杏奈や他のクラスメイトたちはきちんと座り直し、耳を傾ける。
「……ここ最近、名門学生を中心に不良学生から絡まれる、という事が多発しています」
──名門生狙いの不良?カツアゲとか?
「我が校ではまだ被害は出ていませんが、もし見かけてもむやみに近付かず、その場から離れるように。いいですね」
はーい、と言うまばらな返事に、眉を寄せる先生。圧倒的に返事をした声数が足りたないからだろう。
「……それでは帰りのホームルームにしましょ」
今時いるんだな。カツアゲみたいなことする人って。



