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貴公子のマンツーマンレッスンを受けるようになって二ヶ月程が経ち──
私は貴公子がいる部屋に入ってすぐ、着物なのに畳の上を膝スライディングをして、貴公子のもとへ。
「貴公子!」
「あ?」
花の準備をしている貴公子は、顔をあげず相槌をうった。
「昨日!華道の授業あったんだけど、初めて全部直されなかったの!すごくない!?」
「言ったろ。俺が華道の成績あげさせるって。でもそんなんで喜ぶな。喜んでいいのは、華道のセンコーがハッと息を呑むほどの花を生けた時だ」
興奮気味の私に対し、意外と貴公子はドライ。貴公子の言うことも分かるけど。
「……でも私からしたら、すごいことなんだってば」
「俺が教えてんだから、当たり前。これからもっとよくなるぜ?」
「頼むぞ、貴公子」
少し主旨は違うけど、私の心のなかは妥当華道の先生を目指しながらの教室通いとなっている。



