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「失礼しましたー……あ!詩姫ナイスタイミング!」
昼休み、放送で呼ばれ職員室に行っていた杏奈が、私を見つけよたよたと歩み寄ってきた。……何かの資料の山を両手のかごいっぱいに。
「重そうだね」
「うん、課題がまた遅れたからペナルティという名のお手伝いです。そしてそんな私と巡り会った詩姫よ、手伝いを頼む心の友」
こういう時ばっか、調子のいいことを言うんだから。
「私はただお手洗いに来ただけなんだけど……まあいいか。どこに行くの?」
「ありがと!」
片方のかごを受け取り並んで歩き出せば、
「んとね、二年の教室全部!」
「え……」
まさか二年生のところへ行くと思っていなかったから、引き受けたのを後悔してしまう。
だけどやっぱりやめた、って言うわけにも行かず……
授業で使うという資料を各クラスに届けていくわけだけど──



