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『憂鬱』『退屈』『つまらない』
どれも似たような意味だけど、この学校生活は私にとってほとんどこの三つしか感じられない。
もう三年目だと言うのに、楽しさの一つすら見出だせていない現状。
卒業まで一年をきっているっていうのに、ただただ日々が過ぎていく。
普通の学校に比べ、楽しい行事なんて存在しないし、授業だって作法に茶道、それに生け花やらに力をいれていて……正直眠くなる。
「あらまー、詩姫ってば今日もアンニュイな気分なの?」
窓際の席で空を眺めていれば、前の席の友人──里中杏奈が苦笑いで声をかけてきた。
一年の頃からの付き合いで仲は良好……だと思う。
校内でも数少ないショートヘアで、気さくな性格だ。家はパン屋で、よくここの学生も利用している、巷では人気の店。
「アンニュイ?……まあ、さっきの生け花の授業最悪で、余計ね」
「ああーあの先生、全部直すもんね。わかるーわたしも直されたー」
共感し項垂れ、私の机に伏せる杏奈を見ていれば、先生が入ってきた。
ざわついていた教室に、先生は大きく咳払いをする。



