「おまちしておりました、鼓様」 「お出迎えありがとうございます女将」 ああ、来ちゃってるし。急げ急げ。 「と、次期女将ね」 「娘の詩姫です。ご挨拶を」 玄関先でお母さんの隣に並び頭を下げる。 「皆森詩姫でございます。よろしくお願いいたしま、す……」 ──え。 顔を上げれば、先程見た目つきの悪いお顔があって。 私よりも先に、驚いた表情をしていた。 そりゃそうだ、今さっき不良絡みの件で出会ったんだもの。 でも今は私も同じようなリアクションだと思う。