ギャップドル!! - だって「素直」になりたくない -

「うちの大学の近くに美味しいピザを出すカフェがあるわよ」
「ねぇ、俺も行って良い? デート」
「なんでだ。デートの意味ねぇだろ」
「そこ、チーズトーストも美味しいのよね」
「ねぇねぇ、俺もいっしょに行って良いでしょ? デート」
「良いわけあるか!!」
「私は……
オレンジ……くんと、デートしたくない……」

「なんで!!」
青ちゃんと兄弟漫才(みたいなの)を繰り広げていたオレンジが、すっとんきょうな声を上げる。
「ほら、やっぱりちいちゃんは俺とデートしたいんだよ」
「ふたりとも育て方間違ったわ。どうしてこう育っちゃったのかしら」
「おまえに育てられてねぇから」
「ほら、やっぱりちいちゃんは俺の方が良いんだ」
「だって……
素直になりたくない……」

空気が止まった。

「いやなんで!? そこは俺とデートする流れだろ!?」
「おまえの誘い方がマイナス100億点なのよ」
「ホントにアイドル? おまえ。今すぐ脱退してよ」
「青。私たちふたりで強く生きていきましょうね」
「なんで!?」
直でディスられまくるオレンジをあわれに思いながら、私は頬を赤らめて目をそらす。

「だって、
きみは私のライバルだから」