ギャップドル!! - だって「素直」になりたくない -

おぶおぶ泣いている私を、姐さんがそっと広い胸に抱き寄せてくれる。あったかい。ラベンダーみたいなにおいがする。安心する。
「おい、その子は俺のだ」
「ほんっと心せまいわね。だからモテないのよ。この子に」
「ちいちゃん、今度は俺にも抱っこさせて!」
「……」
どうしよう。
私たち、この先輩たちの「究極のエゴ」に守られている。守られっぱなしだ。
(悔しい)

「守られるうちは守られてろ」
オレンジが、優しくそう言って大きな手を私の頭に乗せてくれる。
「そうよ、ちいちゃん」
「俺たち、全力でちいちゃんたちを守るからね!」
(悔しい)
青ちゃんが姐さんの上から、私をぎゅうっと抱きしめてくれる。オレンジは私の頭を優しく撫でつづけていてくれる。
「いつか後輩ができた時、守り方がわかるだろ? な?」

(悔しい)
私たち、まだ、この先輩たちの足元にも及んでいない。勝てない。悔しい。手のひらで転がされている。
いつか超えてやる。絶対に。私たち5人で。この先輩たちを。
(だから、きみたちの後輩でいさせて。
アイドルでいさせて)
きみたちを大好きでいさせて。

「そのために法学部を卒業したんだ。俺は」