Roadside moon










訝しげに眉を寄せる。





真白いその肌を、もう羨ましいとは感じない。





「で、聞かせろよ」





「…ん、切り替えるよ」





だからお前も真面目に聞けよと、龍が言う。





首を縦に振る俺に小さく笑う龍。その実体がこちらへ近づけば近づくほど強調される美が、あまりに浮世を離れていて





こいつにはきっと一生勝てないのだろうと、また思い知る。





(…まあいい)





いいんだ。





俺にとって一番恐れるべきは









──龍が散ってしまうこと。







認めざるを得ない。





俺はコイツを、心の底から尊敬している。





コイツに拾われたあの日から。この身体がどうしようもなく、この男の(もと)で散ることを望んでいるのだ。





だからきっと一生





朧がいつか終わっても。





俺は、コイツの手駒でありたいと願うのだろう。
確信だった。
















けれどだからと言って





やっていいことと悪いことがあるとも思うよ。





節度は守るべきだと。



















「──あの子が欲しくなった」





「…」





「本気で欲しい」





「…」





「だから、早いとこ引き込む」





「…は?」





「どう思う?」





「…」





一瞬、君主への固い決意が揺らいだような





そんな気がした





19歳、冬の出来事。