きょとんとした表情でこちらを見つめる綺世。
ふざけていないというのがまたタチの悪いことで。
まあ結局、俺もこいつが可愛くて仕方ないのだけれど。
「…」
「亜綺ちゃんも友達になったらいいじゃん」
「…そうかもね」
可愛い妹の友人。
彼女がどんな肩書きを背負っていようと
そのことだけは変わらない。
綺世のただの“女友達”というのを、俺は今までまともに見たことがないので
どうか、あの子には長く付き合ってやって欲しいなと思う。
口に出せば妹が嫌がるだろうから言わないけど。
「…どうやって知ったの、お前」
「サヨちんが教えてくれたよ。クリ暴のとき」
「ああそう…でびっくりしなかったわけ」
「したよう、そりゃ」
なんだ。一応びっくりはしたのか。
「…でもさ」
「うん?」
「会う前からそれを、私が知ってたとしてさ」
「うん」
「サヨちんと会った日、同じように声を掛けないのかって言われると、それはなんか違くて」
まあ、分からないんだけど。そうなってみないと。
「けど多分、本当に。あの子は私の一番星だから」
──亜綺ちゃんがどう想像してるのか知らないけど、割と普通の子だしね。
「だから別に。知っても変わらない」
「…へえ」
「近いうち絶対一緒に走るんだもんね」
白い歯が覗く。
晴れやかな笑顔に
俺は、なんとも言えない気持ちになる。
