言葉を失った。
「川本さん、これ…」
間違いのないビッグサプライズである。
濃紺のボディ。
メカメカしく光る塊を凝視した。
「『Kawamoto』の集大成にして、最高傑作」
「…え、あ」
「『神風』」
「…神風……」
「うん…コイツはきっと君を待ってたんだよ。ずっと。完成する前から。僕の頭に浮かぶより前から、ずっと」
「え、やば、やばい…こんな……すごい……」
「カワモトバイク一同から、小夜ちゃんの栄光を祈って」
──いつかもう一度走る、未来の君へ。
「その相方に相応しいバイクは、絶対に僕達で作り上げたかった」
その夢が叶ったよ、とまた彼は笑った。
──『Kawamoto神風750RS』
その日私の相方となった“それ”は
後に、モーターレース界を揺るがす伝説となる逸品である。
