「じゃあ今度こそ、またね、小夜ちゃん」
「はい。さよなら」
『またね』
この人の前で、確かに感じる愉快な未来。
柄にもなく嬉しいなと思う。
ヒラヒラと手を振った。
「〜♫♩」
──足取りが軽い。
前よりずっと。
人生の一部も同然だったものを失って、希望を失ったと思った。目の前が暗くなったあの日から今日まで。自分の中にこんな気持ちが芽生える未来を想像したことは多分、なかった。
「…っ」
──なのにどうして、こうなったんだろう。
さっきまで順調だった。
明るい未来が見えた。
そう思った、のに。
「…逃げたい」
呟く。
私は切実だ。
