Roadside moon











──────────





──結さんが席を立ったあと私もすぐに御手洗に立って





すっきりと用を足して気分高らかに席に戻ると
頼んでもいないチーズケーキとクッキーが運ばれてきたわけであるが。





「あすみません、私、頼んでない…です」





「店長が、『ゆっくりしていって』と」





「えっ…あ、ありがとうございます」












(店長なのか、あの人)





厨房の方に視線を這わせる。





結局彼は見当たらなかったけれど今は与えられたご厚意に甘えようと、小洒落たフォークティーカップを綺麗に並べて、一枚写真を撮った。





チーズケーキはほんのり甘くて





私にはなぜか、その味を自分が一生忘れないような予感がした。