Roadside moon










…狡い。





狡い。そんな顔されたら。





私が私に夢を見てしまう。





「まあ、つまり。まとめるとね」





「…できるだけ、簡潔に」





私の中の私がこれ以上はキャパオーバーだと言っている。





わかった。もう十分だ。





(そこ)がどんな場所なのか。
彼の言葉の端々に滲む切実な感情。





私には到底理解の及ばぬところで





私と同じように走る人達。










正直まだピンとは来ないかもしれないけれど。





「小夜ちゃんが走れば、この街の風向きが変わる」





「…なにそれ…」





「そう思う」









なんだかもう





「…参考までに」





それでいいかと思った。