…狡い。
狡い。そんな顔されたら。
私が私に夢を見てしまう。
「まあ、つまり。まとめるとね」
「…できるだけ、簡潔に」
私の中の私がこれ以上はキャパオーバーだと言っている。
わかった。もう十分だ。
朧がどんな場所なのか。
彼の言葉の端々に滲む切実な感情。
私には到底理解の及ばぬところで
私と同じように走る人達。
正直まだピンとは来ないかもしれないけれど。
「小夜ちゃんが走れば、この街の風向きが変わる」
「…なにそれ…」
「そう思う」
なんだかもう
「…参考までに」
それでいいかと思った。
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