Roadside moon











しかも。





彼、私のタイプかもしれない。






「あの、結さん」





「ん?」





「失礼を承知でお聞きしますが…おいくつですか?」





「んふふ、何歳に見える?」





「…10代ではないかと」





それ、年増のお姉さんがやるやつですよ。





心の中で呟いた。





10代ではないだろう。





纏う色気が10代とは思えない。





20代後半?そんなところか。





まあ24か25でも納得できないことはないけれど。





そんなことを考えながら返答を待った。





その場合、私はまだ17だから犯罪味強いか…。










……いや。いやいやいや。





この人綺世の従兄だよね。
親友の親戚だよね。





私今一瞬いいなって思った?





いや。





馬鹿馬鹿。浮かれるな。





「──つい先月22になりました」





「…」





「やっと大学卒業の歳だね」





私の、5つ上。





ちょっと。





ちょっと待ってよ。











「え"っ、22歳……」









声にもならない声とはまさにこのこと。





カエルが鳴くより酷い声を出した私に結さんが苦笑する。





「見えないってよく言われるよ」





「…なんかすみません」





「これでもまだ大学生なんだけどなあ」





大学生。









心の中でそっと呟く。





うん。悪くない。





「…い、言われてみれば」





「無理しなくていいよ。老けてるのほんとのことだし」





「…」





何も言えなくなった私に、結さんは軽く笑って。





そのシュンと気落ちしたような姿に、胸がキュッと締め付けられるような感覚を覚える。





5つ上か。





うーん。













なにか色々と、素敵な響きを感じるような。





こんな感覚、幾年ぶりか。









その彼と向き合っているという状況をようやく飲み込み、無性に逃げ出したくなって御手洗に立つと





そんな私を、結さんが大きな声で制止した。












「──小夜ちゃんほら!今日のメイン!」