「理由、というか」
「…うん」
「…自分でもよく分からなくて」
「…」
「ずっと考えていたことではあったんですけど。今思えばかなり衝動的だったような気もします」
“理由”
自分でも上手く整理のついていないそれを言語化する能力は、残念ながら私には備わっていない。
少しだけ考えて、何かを言おうとして
やめた。
「…すみません、まだ、上手く言えないかも」
コーヒー、もらってもいいですか。ホットで。
呟いた私に、結さんが黙って席を立つ。
その背中を見送ってふう、と一つ息を吐いた。
その時だった。
「…ん?」
ブォン、ブォンブォンと
薄汚れた音が耳をついた。
窓の外。
目を向ければそこに
「…わあ…」
無数の光が、大海を描く。
