バイクと出会ったあの頃から今までのことを、掻い摘んで、できるだけ簡潔に綺世に話す。30分ほどそうしていただろうか。
こちらが一通り話を終えるまで、彼女は黙ったままで
かく言う私のほうも何を言えばいいのかわからずに暫くふたり、静寂を共にした。
それから更にどれくらいかが経った頃
眼前の景色──そこに集う明いテールランプの数が随分と増えていることに気が付く。
私はそこに女子の集団を発見し、未だ黙ったままの綺世の右肩を、トンと叩いた。
「綺世?」
「…うん」
「あれ、お仲間さんじゃないの?同じ服着てる」
「…分かってるんだけどさ…私アホだからキャパオーバー中だよ…」
「なんかごめん」
笑いながら言う私に、綺世が重い腰を上げる。
彼女が柵から身を乗り出せば
下から『姐さん』と大きな声が響いた。
