────────── 「──綺麗」 そんな言葉が口をついた。 「…そう?」 「…うん。とっても」 「…や、変わってるね。サヨちん」 「綺麗だよ、だって」 綺世が物珍しそうに私の顔を覗き込む。 私はそんな彼女へ何かを返す余裕もなく 目の前の景色に、眼差しを預けていた。 「この景色をさ、そんな表情(かお)で綺麗だなんて言う子、多分パンピーではサヨちんぐらいだよ」 「…え、どんな顔してるの私」 「恍惚」 「…難しい言葉知ってるじゃん」 「失礼ー、ほんとなんだから」