Roadside moon











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「…」





ふわふわのクッション。私は無言で顔を埋める。





真っ白な──というよりは少しクリームがかったようにも見える、無地の壁紙。





ベッドのシーツは猫柄で
なんとも意地悪く私の目を惹く桜色のドレッサー。









なんというか。





「…なに?人の部屋ジロジロ見て」





「…いや、思ったより女子女子してて。可愛くて」





正直にそう呟いた。





「あはは、レディースの頭張ってたって女子は女子だよ。生まれ持った宿命じゃん」





言葉通りの意味で、なんて可愛らしい部屋なんだろうと思っただけなのだけれど。





綺世がそんな私にまた一つケラケラと笑う。





そうしてひとしきり笑ったあと





「さてと」





唐突にパンと乾いた音が響いた。
音の主がさてとと呟き、なにかの始まりを察する。









「サヨちん」





「…なんだ」





綺世がぐっとこちらへ近づく。





驚いて引き気味になる私を





「今から言うこと、二人の秘密でお願いね」





彼女の目が、固く捕らえた。













「──サヨちんはさ、旭くんの妹でしょ」





「え、あ、うん…そうだけど」





不意をつかれたような気分だった。綺世にはそんなつもりないだろうけれど。





まさかここで旭の名前が出てくるとは。





自然に身構えるが
その必要が一切なかったことを数秒後、思い知ることになる。













「今からすごいぶっちゃけたこと言うから、こんなことサヨちんにしか言えないから。できるだけ引かないで」





「…なに怖い」





「あ、あと先に言っとくけど、どっちが先かって言ったらちゃんとサヨちんだから!」





「え、なにどういうこと」





「利用しようとか、そんなことは本気でまじで神に誓って微塵も考えたことないから!」