好きだから彼女になって欲しい、というほうがよっぽど筋が通っているような気がした。
“最速の君に、興味がある”
…どうしちゃったんだろう。本当に。
彼女にするはともかく、朧に入るは殊更奇怪だ、奇怪すぎる奇怪にもほどがある。
頭が狂ってしまったのだろうか。
それとも
本気だというのか。
「…冗談じゃ、なくて?」
たしかに可笑しい。可笑しいけれど。
「…うん」
「…」
「本気だって」
「…、」
「言ったはずだよ」
「…、あ」
『──全部、ちゃんと本気だから』
あの時のあの言葉は。
そういう意味だったんだ、と納得してしまう。
熱っぽい視線が
私を包む、柔らかなシトラスが。
本気なのだと告げている。
彼の言葉が冗談なんかじゃない事を
私が一番よく理解しているはずだったことに気がついて。
悔しいけれど、思い出されてしまうのだ。
『本気だから』と言ったロンさんに本心から頷くことが出来た、あの時の私を。
逃げられない。
咄嗟に思う。
「困らせるのは分かってる」
「…」
「危ないことの方が多いし、朧が全力で護ったところでフォローしきれない可能性だって大いにある」
「…」
「だけど」
…逃げられないんじゃない。
「それを飛び越えて“絶対護る”って宣言出来るくらいには魅力的だよ。君の走りは」
(…逃げたく、ない)
「やっと見つけた」
「…」
「中途半端に蔓延る、この街の風を」
──ぶった斬ってくれる走り屋を
これは、もう。
私の負けを
認めるべきなのかもしれない。
