「…ロンさん」
「…」
「ありがとうございます。助けてくれて」
ロンさんが来てくれて、嬉しかった。
「…サヨちゃん」
こういう時。
彼のように自分を信じられなくなるような気持ちが、私にはなんとなく分かる。
事が、自分の予想通りには運ばなかった時。
よって大きな挫折を味わうこととなってしまった時。
そういう時、一番に自分を責めたくなって。けちょんけちょんになるまで踏み潰されて、そうしていっそこの世から消えてなくなってしまえたら。と。
臆病であるが故の“逃げ”のようなものだと思うのだけれど。臆病だから結局、どこへも行けないのだ。
まあいいか、と諦めて。
そういうことを繰り返して心ばかりが削られて。
(…似てる)
きっと貴方は、少しだけ私に似ている。
人より達観して見えるのは、きっと色んなことに苦しんできたから。誰も知らない内側を、必死に守っているのだと思う。
結さんが言っていた言葉の意味が少しだけ分かった気がした。
縋る藁さえ見つけられぬまま先頭を走り続けてきた彼らを。
もっと近くで見てみたい。
はっきりとそう思った。
後で思えば、これもまた然り。
必然的なことだったのかもしれない。
だって私はずっと憧れていたのだから。
その憧れが私を見てくれていることが
どうしようもなく、嬉しかったのだから。
どんな出会い方をしたとしても
その手を取ってしまったんだろう。
眩い光に人は惹かれる。
ごく自然な事だ。
「…どういたしまして」
「…はい」
「ん」
「ロンさん、」
「ん?」
「私も、ロンさんにお話したいことがあって」
「…うん」
話そう。
呟いたロンさんに、私はわざとらしい笑みを浮かべた。
彼はきっと
それに気が付いていた。
