Roadside moon











「──って、感じです…」











“全部”。





本当の意味での全部では、きっと無いのだろうけれど





今の私が話せる全てを打ち明けた。





目の前には、口をぱくぱくと開閉する
綺世の間抜け面。





随分と早口で捲し立てたものだから、彼女の頭がおそらく数歩遅れているのだと推測する。





それからまた数秒ほどして、ぱっちりと開かれた彼女の綺麗な瞳。





次の瞬間。





「は…え?なに?なんて言った?」





言いながら話を整理しているらしい綺世に、私はえも言われぬ感情を覚え、気がつくと、ゆるりと口角を上げていた。