「──って、感じです…」 “全部”。 本当の意味での全部では、きっと無いのだろうけれど 今の私が話せる全てを打ち明けた。 目の前には、口をぱくぱくと開閉する 綺世の間抜け面。 随分と早口で捲し立てたものだから、彼女の頭がおそらく数歩遅れているのだと推測する。 それからまた数秒ほどして、ぱっちりと開かれた彼女の綺麗な瞳。 次の瞬間。 「は…え?なに?なんて言った?」 言いながら話を整理しているらしい綺世に、私はえも言われぬ感情を覚え、気がつくと、ゆるりと口角を上げていた。