愛憎

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きっと運動すると思うから、髪は結んでおこう。プログラムがそう判断して、私は髪をポニーテールにまとめる。
一年生と合流して、最初に卓球部に行くと先生から説明を受ける。話の間、一年生からの密かな注目を浴びる。それもそうか、二年生が紛れ込んでたら変だもんね。
「…ということだ、じゃあまずは卓球部なー」
随分と適当な説明なんだな、と少し驚く。いや、驚いたのかは分からないけど。
人間の説明って、こんなにも分かりづらくて正当性がないんだ。語彙力も、説得力の欠片もない。

卓球は、とても簡単だ。
というか、運動全般がとても簡単な気がする。超高性能ロボットだから、なんでも簡単にこなせるように作られている。こんな部活に入っても、正直「楽しい」なんていう感情は出てこないだろう。
周囲を驚かせ、終わった卓球の仮入部。後半は陸上部に行くのだという。
「はぁっ…あっ、心〜！」
「真桜！」
外。沢山の部活が活動している中、陸上部は懸命にただただ走っている。そんな中真桜は、私を見つけるなり走りながら大きく手を振っていた。
私もそれに反応して、小さく笑顔で手を振り返した。
陸上は特に「体験すること」がないから、みんな静かに部活を見守る。走り終わったらハードルを用意して飛んだり、リレーをしたり、短距離走をしたり。陸上についての知識も広がったし、良い経験になった。
でも、部活に入ろうとは思わない。　お母さんが許可を出すわけないし。