「…好き」
「……へっ?」
これは、俺が彼女に告白した瞬間だった。
人生で初めて、心から好きって思えた人。可愛いって思った人。性格が良いなって思った人。
大事にしたいって思えた人。大好きな人。
「付き合って」
二人だけの教室。目と目がしっかりと合い、俺の緊張を加速させる。
ストレートに「好き」なんて言っちゃったけど、これ迷惑じゃないかな?
絶対両思いじゃないし無理だ、振られる。もしかしてストレートすぎて引かれた?
頭の中でグルグルと不安が駆け巡る。自分から告白したくせに、実行した途端弱気になるなんて。アホらしい、と心の中で自傷する。
「…えっ、と」
一方、彼女は落ち着いた様子だ。
きっと、気を遣ってくれているんだろうな、と心の中で悟る。
あんなダサい告白をしたにも関わらず、「何それ、キモ」とか心無いことを言わないで、ちゃんと言葉を探しているんだろう。
彼女は一瞬俯いた後、もう一度真剣な眼差しで俺の方を見た。
こんな俺と真っ直ぐ目を見て、しっかりと〝俺自身〟を見てくれている。
俺は、彼女の〝真っ直ぐなところ〟に惹かれたんだろうな。と改めて実感した。
彼女が口を開く。よっぽど返事を聞くのが怖かったのか、一瞬、全てがスローモーションに見えてしまった。
「…よろしく、お願いします」
スローモーションが解けたのは、彼女のおかげだと思った。