愛憎

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〝一年生と一緒に参加してもらう感じでいいか？〟
さっきの担任の声が、蘇る。
「はぁ…」
ため息をついてみる。これが本物のため息なのかは、分からない。
「どーしたの心？なんかあったー？」
「真桜〜…！」
最近友達になった一軍の名前を呼ぶ。この子は、私が転校してきた時に一番最初に話しかけてくれた友達。
「今日一年生と一緒に仮入部体験しなくちゃいけなくて…」
「あー、心が朝呼び出されてたのってそれ？大変だね〜」
私は「はぁーっ…」とため息を漏らして、だるそうな顔をしてみる。だるいとは感じていないけど、喜怒哀楽豊かな人は人当たりが良さそうとお母さんに言われたから。
「真桜、行きたくないよ〜…」
「ごめーん、私部活なんだわ！頑張ってきな！」
「どうせ今度真桜の方の部活にも行くけど…。陸上でしょ？」
「おお、正解。心って記憶力いいよね〜」
まあ、AIだし。そんな言葉を飲み込んで、「ありがと〜」と笑顔で返す。
その笑顔も、勿論偽物。私はいつ、自分の感情が出るようになるんだろう。