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早朝。

「仮入部、ですか?」
転校して少し経った頃、担任の先生に職員室に呼び出された。
何をされるのやらと怪訝に思っていたら、(プログラムだから思ってはいないけれど)なんと仮入部のお誘いらしい。
勿論お母さんの研究の手伝いをしなくちゃいけないから、仮入部も入部もお断りだ。何か適当に理由を付けて、断らなくては。
「えっと…すみません、家の手伝いがあって、部活には入れないんです」
困ったように笑い、そう告げる。流石にちゃんと断ったんだから、この担任も引いてくれるはずだ。
「悪いが今田、ウチは部活に入らなくちゃいけないんだよ。家の事情でも、何かしら入っとかないと…」
どうやら、この学校は強制的にどこかの部活に入らなくてはいけないらしい。リサーチしてきたつもりだけど、そんな情報初めて聞いた。きっと、SNS には書かれていなかったんだろう。お母さんもきっと、伝え忘れたに違いない。
「…そうですか、分かりました…。お母さんに相談してみますね」
「そうか、よろしく。…あ、ちなみに、仮入部は今日からなんだよ。一年生と一緒に参加してもらう感じでいいか?」
どうやら仮入部は、今日から開始するらしい。
「分かりました!」
ニコッと偽物の笑顔を貼り付けて、職員室を後にした。