初めて心と話した時は、心臓が飛び出てしまいそうなくらい緊張したのをよく覚えている。
綺麗な顔が目の前にあって、話しかけるとくりくりの瞳が私を捉える。こんなに幸福なことは今までで一度もなかったし、同時に今まででこんなに緊張することもなかった。
初めて間近でその声を聞いた時、「うわぁ、可愛い人って声も天使なんだなぁ」と厄介オタクみたいなことを思ったことを覚えている。
それで、クラスメイトの心のオタク――、名前は忘れたけど、アイツみたいでキモいなぁって自分を憎く思ったことも。
初めて心と話した時、隣にはるいもいた。サーブが上手だったから、ペアを組みたいとかなんとか。
私も組みたい!るいだけ抜け駆けずるっ!って思ったけど、普通に引かれると思うから我慢することにする。
やっぱり、心は「お母さん」が原因でテニス部には入れないようだった。悲しいなぁ、やっぱり入ってほしいなぁと思いながらも、「心は入りたいと思ってくれたんだ、嬉しい」とも思った。
芽流が、嫉妬したらしい。
心とるいが喋りすぎだとかなんとか。るいの手を引いて廊下に出た直後、そう告げられた。
いや、女の子と話しただけで嫉妬するのか?普通。とも思ったけど、感覚は人それぞれだよな、と考えをまとめて、芽流の援護に付くことにする。
「ふふっ、青春!恋愛っていいよねぇ、甘酸っぱ〜い」
茶化すように、ニヤニヤしながらそう言ってみる。るいが困ったような顔をしていたけど、そこにはお構いなし。
「あっ、心ちゃんの部活に関しての話は、私がすればいいんじゃない?芽流もるいも二人きりだし、嫉妬する必要もないじゃん!私も心ちゃんと話したいって思ってたんだよね、一石二鳥じゃん!」
何も悟られないように、いつもより早口で話してみる。ごめん、るい、芽流。と、心の中で謝りながら。
こんなの、私情だ。私が心ちゃんと話す機会を作りたいだけ。
芽流の嫉妬を利用して、好きな人と距離を縮めようとした。
今考えても、後から考えたって、普通に人間として最低だと思う。私って、やっぱり偽らないと最低人間になっちゃうんだ、と少し悲しくなる。
「るいも、いいでしょ?」
もはや睨みつけるように、本音を言わせないみたいな感じになってしまって、「あ、やっちゃった」と心の中で苦笑いする。まあいいや、私は最低人間だし。
ほぼ無理やり「いいよ」って言わせるような形になっちゃったけど、るいは了承してくれた。
ちょっと罪悪感はあるけど、まあいっか。
私クズだし。今更罪悪感なんか感じても、しょうがないもんね。
今日の日記
・心と初めて話した、嬉しい
・芽流が嫉妬してた
・私って最低
綺麗な顔が目の前にあって、話しかけるとくりくりの瞳が私を捉える。こんなに幸福なことは今までで一度もなかったし、同時に今まででこんなに緊張することもなかった。
初めて間近でその声を聞いた時、「うわぁ、可愛い人って声も天使なんだなぁ」と厄介オタクみたいなことを思ったことを覚えている。
それで、クラスメイトの心のオタク――、名前は忘れたけど、アイツみたいでキモいなぁって自分を憎く思ったことも。
初めて心と話した時、隣にはるいもいた。サーブが上手だったから、ペアを組みたいとかなんとか。
私も組みたい!るいだけ抜け駆けずるっ!って思ったけど、普通に引かれると思うから我慢することにする。
やっぱり、心は「お母さん」が原因でテニス部には入れないようだった。悲しいなぁ、やっぱり入ってほしいなぁと思いながらも、「心は入りたいと思ってくれたんだ、嬉しい」とも思った。
芽流が、嫉妬したらしい。
心とるいが喋りすぎだとかなんとか。るいの手を引いて廊下に出た直後、そう告げられた。
いや、女の子と話しただけで嫉妬するのか?普通。とも思ったけど、感覚は人それぞれだよな、と考えをまとめて、芽流の援護に付くことにする。
「ふふっ、青春!恋愛っていいよねぇ、甘酸っぱ〜い」
茶化すように、ニヤニヤしながらそう言ってみる。るいが困ったような顔をしていたけど、そこにはお構いなし。
「あっ、心ちゃんの部活に関しての話は、私がすればいいんじゃない?芽流もるいも二人きりだし、嫉妬する必要もないじゃん!私も心ちゃんと話したいって思ってたんだよね、一石二鳥じゃん!」
何も悟られないように、いつもより早口で話してみる。ごめん、るい、芽流。と、心の中で謝りながら。
こんなの、私情だ。私が心ちゃんと話す機会を作りたいだけ。
芽流の嫉妬を利用して、好きな人と距離を縮めようとした。
今考えても、後から考えたって、普通に人間として最低だと思う。私って、やっぱり偽らないと最低人間になっちゃうんだ、と少し悲しくなる。
「るいも、いいでしょ?」
もはや睨みつけるように、本音を言わせないみたいな感じになってしまって、「あ、やっちゃった」と心の中で苦笑いする。まあいいや、私は最低人間だし。
ほぼ無理やり「いいよ」って言わせるような形になっちゃったけど、るいは了承してくれた。
ちょっと罪悪感はあるけど、まあいっか。
私クズだし。今更罪悪感なんか感じても、しょうがないもんね。
今日の日記
・心と初めて話した、嬉しい
・芽流が嫉妬してた
・私って最低



