世の中は、不公平だと
いつも思っていた

「大陸…どうしたの」
「ばあちゃん。ごめん」
「大陸! 大陸!」

うっうっ えっえっぐ
何故か、今日はやってしまった。
担任の先生が、鬼みたいに感じるのは、こういう時なんだと思う
実は、今日学校で。
となりの、ウジ虫、泣き虫、弱虫の給食を、
「このメガネ虫!」
がちゃん。とやってしまった。
先生に怒られた。
ウジ虫だから、悪いんだと思う。ウジ虫だから。ウジ虫が、昨日の夜お母さんに作ってもらったカレーの方が、ずっと美味しかったって。
後は、余り覚えてい無い。こういう事に限って、どんどん忘れてしまう事が出来るのは、僕の才能なんだと思う

「お母さーん」
「また大陸がわがままを」
「いいの」

僕は天井を、見上げる
お母さん…
どこからとも無くお父さんの声が聞こえる
「大陸、お母さんは多分、忘れているんだと思う」
「えっ。嫌だよ。何で? 僕らの事を? あり得ないよ。嫌だよ」
「僕らの事…かぁ大陸
台本やセリフは覚えられる?」
「えっ覚えられると思うよ。でも僕アイドルになりたいな」
「あはははははは」
何で笑うんだろうと思った。
「まあいいや大陸、楽しみにしているよ」
そこまでで、心のお父さんは消えてしまった。

お母さん、お母さん、大丈夫?
僕やお父さんの事、忘れているって本当なの? どこに居るの? 東京だといいな
ばあちゃんの小遣いで、電車で行ける範囲…
僕が全部、教えてあげるよお母さんに
何が楽しかったとか、何が嬉しかったとか、全部
どんな時に辛くて
どんな時にお母さんに居て欲しかったとかも
ふえん
「大陸ーお友達が、サッカーやろうって」
「うん今行く」