【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

ギルベルトに睨まれたヴァネッサは急いで言い直す。
それから診察を行なっていく。
特に前回との変化もなく、ギルベルトと怒られることもない。
「強いて言うならもう少し食事量が増えたら……」と呟いているギルベルト。
診察を終えたヴァネッサはやはり彼の顔色が悪いことに気づく。

(ギルベルト様、やっぱり休んだ方がいいんじゃないかしら。でも今からやることがあると言っていたから忙しいでしょうけど……けれど今にも倒れてしまいそう)

診察の道具をカバンにしまっていたギルベルトは額を押さえて目を閉じる。
フラリと立ち上がり、椅子やテーブルにぶつかりながらも扉に手をかける。

(休んだ方がいいって、言ってもいいのかしら……)

ヴァネッサがギルベルトを引き止めようと手を伸ばした時だった。


「ヴァネッサ、アンリエッタが迷惑をかけてすまない」

「……え?」

「君はアンリエッタに巻き込まれたのだろう?」


ギルベルトは先ほどアンリエッタを庇ったことで、そう思ったのかもしれない。


「アンリエッタはわたしの背中を押してくれました。わたしも過去を話して恐怖や悲しみと少しだけ向き合うことができました」

「アンリエッタが? それに君は過去を……話せたのか?」

「はい、まだ怖いですが乗り越えたいと思っています」

「……!」