先ほどヴァネッサは彼女を守ると約束した。
ならば最近、素直にギルベルトに言葉を伝えられないアンリエッタの代わりにヴァネッサが伝えるべきではないだろうか。
ヴァネッサはアンリエッタを守るように一歩前に出る。
「ギルベルト様、時間に遅れて申し訳ありません。アンリエッタと大切な話をしていたのです」
「はぁ…………まぁいい」
ギルベルトはシルバーグレーの髪をかき上げながらため息を吐く。
「ギルベルト様、診察の前にお願いがあるのです。話を聞いていただけますか?」
「……手短に頼む。次の予定が詰まっているんだ」
ギルベルトはいつもより疲れているように見えた。
目の下には隈が刻まれている。
(遅れてきたのに話を聞いてほしいなんて図々しかったかもしれないわ。ギルベルト様はお忙しいのに……!)
ヴァネッサは手短に話そうと頭の中を必死に整理する。
「て、手短に話します。王家主催のパーティーに参加したいです! 家族みんなで」
「………………は?」
ヴァネッサの言葉を聞いたギルベルトの動きがピタリと止まる。
見開かれた真っ赤な瞳は動揺しているのか左右に揺れていた。



