【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

「ヴァネッサはずっとひどいめにあってきたんだもの。怖くて当然だわ」

「……え?」

「許せないの……! こんなことをしてきた人たちには絶対に天罰がくだるはずだわ」

「アンリエッタ……」


アンリエッタの力強く優しい言葉がヴァネッサの凍っていく心を溶かしていく。
彼女はヴァネッサの震える手を取り、包み込むように握ってくれた。
すると自然と震えが止まっていく。


「ヴァネッサ、聞いて。もしヴァネッサの元家族がヴァネッサをいじめてくるなら……」


アンリエッタの〝元家族〟という言葉にヴァネッサは改めて衝撃を受ける。
ティンナール伯爵家は元家族なのだ。

(今はアンリエッタとギルベルト様がわたしの今の家族なんだわ……!)

そう思うと自然と心が軽くなったような気がした。
もうティンナール伯爵家に縛られる必要はないのだ。


「絶対に大丈夫よ。わたくしとお父様がヴァネッサを守ってあげるから!」

「…………っ!」


ヴァネッサはアンリエッタの言葉に感動してしまい、徐々に瞳が潤んでいく。
アンリエッタの純粋で力強い言葉が傷ついたヴァネッサの心に沁みていくような気がした。
先ほどまでの恐怖はすっかりと消えて、暗い気分が一気に上がっていた。


「ありがとう、アンリエッタ!」

「ヴァネッサにはわたくしたちがいるわ!」


ヴァネッサはアンリエッタを思いきり抱きしめた。
嬉しさと心強さから涙が頬を伝っていく。