【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

ある日、義母が連れてきた医師から子を産むことを諦めろと言われたことで、さらに白い目で見られることになる。
それでも体調が少しでもよければ講師から指導を受け、侍女たちに使われて仕事をこなす。
両親とすれ違うたびにヴァネッサは懸命に働いていることをアピールする。
少しでも自分を見てほしい……その思いだけだった。

成長しても状況は変わらない。
十年経ち、ヴァネッサは十七歳になった。
だけど屋敷の中ではヴァネッサが一番下。
もう何も感じなくなっていたけれど、特に辛いことがあった。
それがエディットと侍女たちの嫌がらせだった。

『あんたみたいな役立たず伯爵家には必要ないわ』
『まだ生きていたの? 咳き込んでうるっさいったらないわね』
『肌も汚くって見ていられない』
『ウフフ、いくら頑張ったって意味ないのよ!』

エディットは綺麗なドレスを着て両親に愛されているのにヴァネッサを執拗に虐げる。
ヴァネッサには美しくてなんだって持っているエディットが羨ましいと思っていたのに。
ヴァネッサとエディットは姉妹には見えなかった。
惨めな自分を悲観しても、エディットと比べてみても現状は何も変わらない。

(ただ愛されたかっただけだったのに……)