この二週間、ヴァネッサは何度か悪夢に魘されたことがあった。
目を覚ますと必ずギルベルトがヴァネッサを見つめていた。
『……大丈夫か?』
ヴァネッサは頷くと、彼は『……そうか』と、安心したように微笑む。
額に滲んだ汗を拭ってくれて、ヴァネッサが落ち着くまでそばにいてくれた。
そんな彼の表情がヴァネッサを不思議な気持ちにさせた。
最初は彼がレン先生に似ているからだと思っていた。
次第に献身的なギルベルトが気になって仕方ない。
体も心も弱っていたからだと言い聞かせてみるものの、気づくとギルベルトのことを考えてしまう。
それに深く刻まれた隈を見て、ギルベルトのことが心配になっていた。
彼のために何かをしたい、そう思うのは当然のことだろう。
それなのにギルベルトはなかなか許可してくれない。
「はぁ…………わかった。やり方を変えよう」
「やり方、ですか?」
「ヴァネッサ……君は俺の妻だ」
「…………へ?」
ギルベルトの発言にヴァネッサは驚き、目を丸くした。
まさか彼にこんなふうに言われるとは思わなかったからだ。
(そうだったわ! わたしはギルベルト様の元に嫁いできたんだった……今まで患者と医師といった関係だったからすっかり忘れていたわ)



