「セリーナ、もしよければわたしに今までの奥様たちのことを話してくれないかしら?」
セリーナがヴァネッサの言葉に目を見張る。
以前の妻たちのことを聞けば、人体実験などとよくわからない噂が広まることもない。
(ギルベルト様に直接、聞いたら『今は自分のことだけ考えろ』と言われそうだもの)
それに今は機嫌が悪く高圧的なギルベルトに聞いて説明してもらうよりも、セリーナたちに説明してもらう方がいいと判断したのだ。
「……ヴァネッサ様、申し訳ありません。今はお話することはできかねます」
「どうして?」
「今は……ご自分のことだけ考えてください」
セリーナは複雑そうな表情でそう言った。
確かに今の状態のヴァネッサは人の心配をしている場合ではないかもしれない。
だが一晩、しっかり眠ったことで随分と気分が落ち着いたような気がした。
なので普通に話してしまっているが、昨日ヴァネッサは自分で命を断とうとしていた。
そんな不安定なヴァネッサに話せないと思うのは当然だろうか。



