【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

「……最近、まったく言うことを聞かなくなってしまった」

「…………」

「何故だかさっぱりわからない」


ポツリと溢れたギルベルトの言葉を聞いて、ヴァネッサはアンリエッタが出ていった扉に視線を向ける。
彼女は七歳で、ちょうど年頃ではないだろうか。

『患者なんかじゃないわ。わたくしの……新しい、その……』

その先、何を言おうとしていたのかヴァネッサには想像できないが悪い意味ではないはずだ。
だからこそアンリエッタが何を言おうとしたのか気になってしまう。
ギルベルトは気分を切り替えたのか、ヴァネッサに淡々と質問をし始めた。
薬を飲んでみて、咳や呼吸はどうなのか。
クリームを塗ってみて肌の調子はどうかなど細かく聞いた後に紙を見て考え込んでいく。

(まるで医師の診察ね……診察?)

昨日はパニックになって気が付かなかったが、昨日からギルベルトは間違いなくヴァネッサを診察している。
たっぷり眠って記憶も整理されたからか、はっきりとそのことがわかった。
つまり人体実験だのなんだの言われていたが、ギルベルトは医者として動いていただけなのではないだろうか。
ヴァネッサが感じていたギルベルトへの恐怖心が一気に消えていく。