【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

しかしアンリエッタが言い終わる前にギルベルトは「アンリエッタ!」と咎めるように名前を呼んだ。
アンリエッタは俯いた後にドレスの裾をギュッと握り、ギルベルトを思いきり睨みつける。


「もうっ……お父様なんて知らない!」

「アンリエッタお嬢様、お待ちください……!」


レイが部屋から勢いよく出ていくアンリエッタを追いかけていく。
ギルベルトはため息を吐いているのが見えた。
ヴァネッサからはアンリエッタの震える手が見えていた。

(この時から二人の仲はあまりよくなかったのかしら……)

ギルベルトは先ほどまでアンリエッタが座っていた椅子に腰掛けて額を押さえる。


「アンリエッタがすまない」

「……いえ」

「何か……言われたか?」


ギルベルトの言葉にヴァネッサは首を横に振る。
何かを言われたと言うよりはヴァネッサの方がアンリエッタを『天使』と一方的に言っていただけではないのだろうか。
むしろアンリエッタを庇えずに申し訳ないことをしたと思っていた時だった。