(今、わたしにできることはギルベルト様の実験の役に立つこと! これで恩を返しましょう)
深く考えても仕方ないと前向きな気持ちでいられたのは前世の記憶があるからだろうか。
体がポカポカと温かくなりうとうとしていると、レイとセリーナがヴァネッサの前へ。
「奥様、入浴を……」
「あの……奥様ではなく名前で呼んでくださいませんか?」
「……!」
ギルベルトに言われたことが頭に過ぎる。
奥様と呼ばれるたびにそのことを思い出してしまうので、名前で呼ぶように頼む。
二人は顔を合わせて頷いた。
「わかりましたわ。ヴァネッサ様、行きましょう」
「はい」
彼女たちはヴァネッサに優しく声をかけてくれた。
ティンナール伯爵家の侍女とは真逆な扱い。
痛みがないようにと優しく触れてくれた。
ガリガリの体は見ていると、こちらまで痛々しく思えた。
皮膚は擦られて爛れていたので、お湯が沁みるのを必死に耐えていたが、あまりの痛みに自然と涙がこぼれでる。
レイとセリーナはヴァネッサを気遣いながら丁寧にこびりついた血を洗い流してくれた。
髪を艶やかに見せるためか、ベッタリと塗られた香油も花の香りがする石鹸で丁寧に洗ってくれた。



