【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

二人の後ろには可愛らしいドレスを着た少女が一人。
義母によく似たライトゴールドの髪、ブルーの瞳。
皮膚が爛れてガリガリで布を一枚被ったような服を着ている自分とはまったく違う。
ごわっとしたベージュの髪は土で汚れたよう。
唯一好きだったライトブルーの瞳も彼女の輝く瞳や幸せそうな姿を見ていると嫌いになりそうだ。


『あなたの妹のエディットよ』

『ゴホッ……エディット?』


ヴァネッサが呟くように言うと、エディットはこちらを汚いものでも見るように表情を歪めた。


『これが、わたくしのお姉様なの?』

『エディット、この子は姉だとは思わなくていいわ』

『どうして?』

『いずれいなくなるゴミだからよ』


義母の言葉はヴァネッサのすべてを否定するには十分だった。

(わたしはゴミ……? 必要ない存在ということ?)

ヴァネッサはショックを受けたまま呆然としていた。


『コイツは使えない奴だがいつかは役立つかもしれない。最低限の知識だけは学ばせておけ。金を積んで口止めはしておけよ』


父は後ろにいる執事と侍女にそう言った。