【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

「ぐすっ……」


涙は止まることなく、鼻を啜りながらスプーンでスープをすくう。
一口含むと優しいがしっかりとした味わいが口に広がっていく。
しかし勢いよく飲み込んだせいか気道にスープが入ってしまった。
激しく咳き込んでしまい、スプーンがカランカランと床に落ちてしまう。

激しく咳き込む音が聞こえたのか、バタバタとこちらに走ってくる足音が聞こえてくる。
涙でぼやけた視界でヴァネッサの頭には怒鳴るティンナール伯爵と伯爵夫人、エディットの顔がパッと浮かんでくる。

(怖い……!)

ヴァネッサの頭を支配するのは強烈な感情だった。
言葉に言い表せないほどの恐怖が襲う。
勢いよく扉が開いて、入ってくる人影を見て言葉すら出てこない。


「ぁ……っ、あっ……!」


髪を掴み上げられて『うるさい!』と、頬を叩かれる感覚が今でも残っている。
ヴァネッサは後ろに下がっていき、背後にあったベッドに倒れ込んでしまう。


「おいっ、大丈夫か?」


男性の声が聞こえた瞬間、ヴァネッサは頭を守るように押さえた。


「ごめんなさいごめんなさいっ、ごめんなさ……っ!」

「…………!」