【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

「……新興貴族か?」

「いや、最近そんな噂は……」


ギルベルトたちが誰なのかと話す声がそこら中から聞こえる。

ギルベルトに親しげに声をかけてくる貴族ももちろんいる。
それは彼が治療をしたことのある貴族たちでギルベルトに感謝している人たちばかりだ。
だが、ほとんどの貴族たちはギルベルトがシュリーズ公爵だと気づいていない。
爵位がわからないため話しかけられないのだろう。

(ギルベルト様、女性の視線を独り占めている気がする……)

令嬢や夫人たちがギルベルトに見惚れているではないか。
そう思うとなんだかモヤモヤしてしまう。
これが嫉妬かと初めての感情に感動していたヴァネッサだが、ギルベルトはヴァネッサの腰を抱いて守るように寄せる。


「ギルベルト様……?」

「やはり君の美しさに惹かれている奴らがいるようだ」

「……え?」

「ヴァネッサに触れたら解剖してやる……」

「お父様、嫉妬する気持ちはわかるけど落ち着いてよ!」


無表情で目を見開き、周囲を威圧するギルベルト。
どうやら彼とは同じ気持ちのようだ。
ヴァネッサはアンリエッタと共にギルベルトを落ち着かせながら歩いていく。

早足のギルベルトに手を引かれながら、列へと並ぶ。
この国の国王であるヨグリィ国王の元へ挨拶に向かうためだ。