【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

今からヴァネッサは何があっても公爵夫人として振る舞わなければならない。
アンリエッタと目を合わせて頷いてから、ギルベルトの手を取り馬車を降りる。

ヴァネッサは初めて見る城に内心では圧倒されていたが、表情に出すことなく城内へと向かう階段を上がっていく。
口角を引き上げてにこやかな表情を作る。

ヴァネッサは緊張しすぎて周囲の視線には気が付かなかったが、三人はかなりの注目を集めていた。
ギルベルトはヴァネッサの隣を堂々と立っている。
アンリエッタも誇らしげである。

ヴァネッサを気持ちを落ち着かせて一歩一歩、足を進めていく。
ギルベルトがこちらを見て優しく微笑んでくれた。
ヴァネッサも嬉しくなり微笑みを返す。
会場では注目の的ではあったが、ヴァネッサにはギルベルトにしか見えなかった。

ギルベルトは滅多に社交界に出なかった。
アンリエッタもお茶会デビューを済ませたばかりで社交界デビューはまだだ。

ヴァネッサにいたってはお茶会やパーティーに出たことすらない。
顔をほとんど見たことがないため、新興貴族と思われるだろうと講師たちは言っていたが実際にそう思われているようだ。