「指輪……! お父様ったらいつの間にっ」
「三日前、改めてヴァネッサにプロポーズをした」
「よくやったわ! さすがお父様」
二人は頷いて親指を立ててグッとサインを送っている。
ギルベルトとアンリエッタとの間にどんな会話があったのかはわからないが、すっかり仲良くなったような気がした。
「そろそろ行こう。ヴァネッサ、手を」
「……はい!」
彼の柔らかい笑顔に顔を赤らめつつ、ヴァネッサはギルベルトにエスコートされながら馬車に向かった。
馬車の中ではギルベルトにティンナール伯爵家に関わらないように。
もし近づいてきたらギルベルトのそばから離れないように注意するように言われた。
ギルベルトがいない隙を狙ってきたら、アンリエッタのそばにいるように言われたためヴァネッサは素直に頷いた。
「わたくしが今度こそヴァネッサを守るわ! 任せてちょうだいっ」
「ああ、頼む」
エディットたちはヴァネッサを下に見ていて、何をしてもいいと思い込んでいる。
(心を強く持つの……! やられっぱなしではいられないわ。大丈夫、わたしには二人がいてくれる)
今日は何があってもヴァネッサは泣いたりはしない。
アンリエッタは腕を交互に前に出しながら「何かあったら、わたくしがぶっ飛ばしてあげるわ!」と、気合い十分だ。
その後、アンリエッタとコソコソと最終調整をして一時間ほどで王都へと到着する。
(今までの頑張りを披露する時よ! 頑張りましょう)



