そして荷馬車に買ったものがどんどんと運ばれていく。
ヴァネッサはただ見ていただけで何もしていないはずなのに疲労感が襲う。
馬車に座るギルベルトとアンリエッタは今まで見たことがないほどに楽しそうである。
帰りは従業員全員で送り出してくれたのだが、ヴァネッサは呆然としたままだ。
「久しぶりにたくさん買い物できて楽しかったわ! お父様もなかなかセンスがいいのね」
「……まぁな」
「ヴァネッサはスタイルがいいし綺麗だからなんだって似合うんだもの。レイもセリーナも当日が楽しみって言ってたわ」
ギルベルトは満足げに頷いている。
その表情はアンリエッタととてもよく似ていて思わず微笑んでしまう。
それからギルベルトは「もう王都での買い物の時に彼らに会うことはないだろう」と呟いた。
ヴァネッサは不思議に思っていたが、ティンナール伯爵家のことではないかと思った。
(どうして会わないのかしら……? ギルベルト様と店主の男性が何か話していたけど、そのことが関係しているのかしら……)
疑問に思ったが、アンリエッタが気にしてしまうと思い口をつぐむ。
しかしアンリエッタはすぐに口を開く。



