ヴァネッサは初めで見るものばかりだ。
ぬいぐるみや羽根ペンなどはさすがにわかるが、見たことがない雑貨はどう使えばいいかさっぱりだ。
アンリエッタが購入した大量の箱は荷馬車へと運ばれていく。
明らかに周囲の視線を集めていることがわかる。
アンリエッタとギルベルトは気にする様子はないが、ヴァネッサは今までにない状況に緊張してしまう。
(ここでわたしが公爵夫人としてしっかり振る舞わなくちゃ……!)
今まで学んだことを活かすようにヴァネッサは背筋をピンと伸ばした。
今度は本命のドレスショップへと向かう。
見たことがないほど大きく高級そうな城のような建物が見える。
少し離れた場所で馬車が止まる。護衛は外で待機しているようだ。
心臓がバクバクと音を立てていた。
(わたし……ちゃんと公爵夫人らしく過ごせるかしら)
ヴァネッサはギルベルトに腕を引かれながら建物の中へと入る。
ギルベルトは慣れた様子だが、ヴァネッサはカチカチになっていた。
なんとか笑みを貼りつけて誤魔化すのが精一杯である。
深々と頭を下げる販売員の中で一番、偉いのであろう男性がギルベルトと親しげに話していた。



