【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

するとヴァネッサに伸ばされるギルベルトの手。
ヴァネッサがボーッとしていると、アンリエッタがヴァネッサにこっそりと「ほら、エスコートよ!」と教えてくれたことでハッとする。
ヴァネッサは緊張しつつギルベルトの手を取り馬車の中に乗り込んだ。

馬車の中でもいつもとは違って緊張していたヴァネッサだったが、アンリエッタがお喋りで話してくれているおかげで助かっていた。


「お父様とこうしてでかけるなんていつぶりかしら!」

「今日はちょうど時間ができたんだ。アンリエッタにもドレスをと言われたことを思い出してな」

「新しいドレスが必要だもの。それにお父様だってたまには息抜きが必要でしょう?」

「……そうかもな」

「それに今日はヴァネッサとお揃いのドレスを買うのよ!」

「ヴァネッサの意思を尊重しなければ……」

「あら、それくらいわかってるわよ!」


ギルベルトはいつもより饒舌だ。
アンリエッタも彼との会話を楽しんでいるように見える。

(ふふっ、アンリエッタが楽しそうでわたしも嬉しいわ。ギルベルト様にとっても息抜きになるでしょうし)

もしギルベルトと二人きりだったら、ヴァネッサは沈黙に耐えられなかっただろう。
それよりも緊張してしまい、また変なことを口走ってしまうだろうか。

ヴァネッサはふと窓の外に目を向ける。
目まぐるしく変わる景色を見て息を呑む。