今夜0時、輝く桜の木の下で

カーテンの隙間から、柔らかな月明かりが差し込み、私は自然に目を覚ました。

時計を見ると、もうすぐ零時になろうとしている。

隣の両親の寝室から、わずかに音が聞こえた。

聞かない方がいい。

そうわかっていたのに、私は壁に耳をつけた。

一戸建ての壁は流石にしっかりしていて、会話の内容まではほとんど聞き取れない。

それでも、

母が泣いていること。

両親が、とてつもなく私を心配したこと。

自分が愛されていること。

それだけは、確信できてしまうくらい伝わってきた。

私は耐えられなくなって、そっと耳を離す。

しばらくすると、二人の部屋から音が消えた。

寝静まったのだろう。

それを確認してから、私は静かに部屋を出た。

この病気のおかげで、電気はいらない。

音さえ立てなければ、両親は起きないはずだ。

私は静かに家を飛び出した。

どうしてなのか、自分でもうまく説明できなかった。

気づけば足は、自然とキラくんの家へ向かっている。

約束をすっぽかしたのに。

こんな時間に、誰かが起きているわけないのに。

それでも足は止まらなかった。

頬を、一筋の冷たさが伝っていく。

このとき、私はどうしようもないくらい、みんなに会いたかったんだと思う。

もうすぐ、キラくんの家が見える。

時間は一時過ぎ。

もうちょっと。

誰もいるわけない。

そこの角。

たすけて。

――わかっていた。

今は深夜一時過ぎ。

人が眠る時間だ。