今夜0時、輝く桜の木の下で

目を覚まして、最初に見えたのは両親だった。

二人とも、心配と安心が入り混じったような顔をしている。

医師からも特に異常はないと説明を受け、帰宅の準備が進められていた。

不意に、時計が目に入る。


思い出した。


紺くんたちとの約束。

心拍が上がっていくのがわかった。

でも、もう時間は過ぎている。

それに今は両親もいる。

どうしよう。

頭の中が、良くない想像でいっぱいになっていく。

喉が詰まるような感覚がした。

心が、苦しい。

そんな中、携帯の通知音で我に返る。

紺くんだ。

画面を長押しし、薄目のままメッセージを確認する。

――咲夜さん、大丈夫?

心配をかけないように。

長くなりすぎないように。

私は返信を打った。

――試験に疲れて寝ちゃってました。約束してたのにごめんなさい

無難に。

嫌われないように。

すぐに返信が返ってくる。

――試験お疲れ様! 俺もテストの後寝ちゃう笑

――咲夜さん、気にしないでゆっくり休んでください

最後に、紺くんから短いスタンプが送られてきた。

キラくんとシローくんからの返信と、紺くんのなんとも言えないスタンプを見ているうちに、少しずつ心拍が落ち着いていく。

今日は家でちゃんと休もう。

そう思った、その時だった。

両親と一緒に、大学の先生たちが病室へ入ってきた。

学部長、学生支援課の職員、試験監督を担当していた先生、そして――今年入ってきたばかりの新人の先生。

先生たちの顔には焦りが浮かび、両親の表情には怒りが滲んでいた。