紺と咲夜はゆっくりと歩きながら話す。
 

「追試、なんとかなりそう?」


咲夜が尋ねる。


「ギリギリですかね」


紺は少し肩をすくめた。


「そっかそっか」


咲夜は笑う。


「早く合格できるといいね」


「咲夜さんの教え方、すっごくわかりやすかったです。ありがとうございました」


紺は照れくさそうに言う。


「本当? それならよかった!」


「また、勉強教えてくれますか?」


思わず口に出した言葉に、紺は慌てる。


「すみません、今のは、そのちがくて――」


「いいよ」


咲夜は優しく笑った。


「え?」


「さっきも言ったでしょ? 楽しかったからいいよ。それに、お店にもまた行きたいし、明日も行っちゃおうかな」


「俺らも明日行くと思います。多分、また追試になるんで」


紺は少し笑いながら答えた。


「本当? じゃあ私も行く! 約束ね」


「うす」


約束という言葉に、紺は照れくさそうに返事をした。