〇バスケコート(夜)
駆が1人ドリブルをしながら紗也佳に言われたことを思い出す。
紗也佳の声『私の好きな人なんて知らないくせに、興味もないくせに、余計なお世話!』
駆「サヤの好きな人なんてこっちはとっくに気付いてんだよバーカ!」
駆が八つ当たりのようにボールをゴールに投げるが、ボールはゴールに入らず跳ね返る。
そこへ紗也佳がやってくる。
紗也佳「良かった。やっぱりここにいた」
駆「サヤ……」
お互い何から話そうか戸惑う2人。
紗也佳「私もやっていい?」
と、ボールを指差す。
駆「ん」
と、紗也佳にボールをパスする。
紗也佳はキャッチしたボールをその場でドリブルする。
紗也佳「今日はごめんね。友達から古川くんのこと聞いた。カケルそのこと知ってたから来てくれたんだよね。なのに私キツいこと言っちゃって」
言い終えてから紗也佳はゴールに向かってボールを投げるが、ボールは跳ね返り、駆の方へ転がる。
駆「フッ……俺が10年も教えてやってんのに、相変わらず下手くそだな」
紗也佳「うっ……返す言葉もありません……」
すると駆は紗也佳にボールを構えさせて、後ろから自分の手を添える。
紗也佳(ちょっと近すぎない!?)
紗也佳は後ろの駆のことが気になって仕方がない。
駆「ボール構えて、左手は」
駆が言い終える前に紗也佳が答える。
紗也佳「添えるだけ。あとはあの四角の角に当てるように投げる、だよね! ちゃんと覚えてるよ」
と、自信満々に言う。
しかし紗也佳がボールを投げようとするが、駆が手を離そうとしないため投げられない。
紗也佳「カケル、手を……」
駆「……俺はさ、すごい気になったよ」
と、ボソッと呟く。
紗也佳「ん?」
駆「サヤが告白されるって知って、いても立てってもいられなかった」
紗也佳(何それ。私の恋愛事情とか興味なかったくせに。急にそんなこと言うなんてズルじゃん)
紗也佳「なんで気になったの……?」
駆「それは……」
紗也佳の鼓動が高鳴り、ゴクリと喉を鳴らす。
駆「俺より先にサヤに恋人できるとか屈辱的だし」
紗也佳「なっ……」
紗也佳(ドキドキした私がバカみたいじゃん!)
紗也佳「カケルってほんっと失礼だよね!?」
紗也佳はボールを使って駆を叩く。
駆「(笑いながら)やめろって」
紗也佳と駆がじゃれ合っていると、懐かしい人の声がする。
俊「サヤ、カケル」
公園に入って来たのは俊(18)。
紗也佳は驚いて駆け寄る。
紗也佳「シュンどうしたの、なんで!? だって帰ってくるの今週末って言ってなかった? もしかしてこれ夢?」
と、混乱する。
俊「俺そんなこと言ってた!? ごーめんごめん。大丈夫、夢じゃない。俺ホンモノ」
紗也佳「もうビックリしたじゃん! でも早く帰って来てくれたのは嬉しい。ね、カケル」
駆「(呆れながら)そういうテキトーなとこ変わってないな」
俊「カケルー! お前また背伸びたな」
と、駆の肩に腕を回す。
駆は俊と同じくらいの背丈になっている。
駆「俊は逆に縮んだんじゃない?」
俊「お前のツンデレも相変わらずだな〜」
俊は犬にするように駆の頭をわしゃわしゃ撫でて可愛がる。
駆「あーーウザイ」
と、嫌がる。
紗也佳「ハハッ。なんかこの感じ懐かしい」
俊「改めてサヤ、カケル。ただいま!」
紗也佳・駆「おかえり、シュン」
俊「じゃあ久しぶりに1on1やろうぜカケル」
駆「はいはい」
と、言いつつもワクワクしている。
紗也佳はベンチから見学。
駆が先攻、どう攻めるか考えながらドリブル。
俊は少し腰をかがめて構える。
俊「お前らまだ付き合ってなかったんだな」
と、紗也佳の方を見て手を振る。
もちろん紗也佳に会話は聞こえていない。
駆「……うるさい」
俊「なんで告んないのか意味分からん。一体何に遠慮してんの?」
駆と俊の会話が聞こえない紗也佳は不思議に思う。
紗也佳(あの2人、何話してるんだろ……?)
駆「俺はただ……! 俺の気持ち押し付けて困らせたくないんだよ。サヤには好きな人いるから」
俊「好きな人、ね。お前それ本気で言ってる?」
駆「……どういう意味だよ」
俊「サヤが誰を好きだとしても、自分の好きな子が他のやつの隣で笑ってて、カケルはそれで我慢できんのかって話。俺は絶対無理だわ〜」
駆はぐうの音も出ない。
紗也佳「カケルー! いい加減ボール持ちすぎだよー!」
紗也佳の声が聞こえて駆が一瞬緩んだ隙に、俊がボールを奪う。
俊「恋愛もバスケと一緒。奪い合いだよ」
駆「!」
俊が一気にダンクシュートを決める。
紗也佳「シュンすごい! ナイスシュー!」
と、立ち上がって拍手している。
俊「俺、本気出すよ。今のカケルには負ける気しねーわ。バスケも、恋愛も」
駆にそう言い残して、俊は紗也佳の方に走って行く。
紗也佳と俊は楽しそうにハイタッチしている。
駆(奪い合い……)
と、笑顔の紗也佳を見る。
(続く)
駆が1人ドリブルをしながら紗也佳に言われたことを思い出す。
紗也佳の声『私の好きな人なんて知らないくせに、興味もないくせに、余計なお世話!』
駆「サヤの好きな人なんてこっちはとっくに気付いてんだよバーカ!」
駆が八つ当たりのようにボールをゴールに投げるが、ボールはゴールに入らず跳ね返る。
そこへ紗也佳がやってくる。
紗也佳「良かった。やっぱりここにいた」
駆「サヤ……」
お互い何から話そうか戸惑う2人。
紗也佳「私もやっていい?」
と、ボールを指差す。
駆「ん」
と、紗也佳にボールをパスする。
紗也佳はキャッチしたボールをその場でドリブルする。
紗也佳「今日はごめんね。友達から古川くんのこと聞いた。カケルそのこと知ってたから来てくれたんだよね。なのに私キツいこと言っちゃって」
言い終えてから紗也佳はゴールに向かってボールを投げるが、ボールは跳ね返り、駆の方へ転がる。
駆「フッ……俺が10年も教えてやってんのに、相変わらず下手くそだな」
紗也佳「うっ……返す言葉もありません……」
すると駆は紗也佳にボールを構えさせて、後ろから自分の手を添える。
紗也佳(ちょっと近すぎない!?)
紗也佳は後ろの駆のことが気になって仕方がない。
駆「ボール構えて、左手は」
駆が言い終える前に紗也佳が答える。
紗也佳「添えるだけ。あとはあの四角の角に当てるように投げる、だよね! ちゃんと覚えてるよ」
と、自信満々に言う。
しかし紗也佳がボールを投げようとするが、駆が手を離そうとしないため投げられない。
紗也佳「カケル、手を……」
駆「……俺はさ、すごい気になったよ」
と、ボソッと呟く。
紗也佳「ん?」
駆「サヤが告白されるって知って、いても立てってもいられなかった」
紗也佳(何それ。私の恋愛事情とか興味なかったくせに。急にそんなこと言うなんてズルじゃん)
紗也佳「なんで気になったの……?」
駆「それは……」
紗也佳の鼓動が高鳴り、ゴクリと喉を鳴らす。
駆「俺より先にサヤに恋人できるとか屈辱的だし」
紗也佳「なっ……」
紗也佳(ドキドキした私がバカみたいじゃん!)
紗也佳「カケルってほんっと失礼だよね!?」
紗也佳はボールを使って駆を叩く。
駆「(笑いながら)やめろって」
紗也佳と駆がじゃれ合っていると、懐かしい人の声がする。
俊「サヤ、カケル」
公園に入って来たのは俊(18)。
紗也佳は驚いて駆け寄る。
紗也佳「シュンどうしたの、なんで!? だって帰ってくるの今週末って言ってなかった? もしかしてこれ夢?」
と、混乱する。
俊「俺そんなこと言ってた!? ごーめんごめん。大丈夫、夢じゃない。俺ホンモノ」
紗也佳「もうビックリしたじゃん! でも早く帰って来てくれたのは嬉しい。ね、カケル」
駆「(呆れながら)そういうテキトーなとこ変わってないな」
俊「カケルー! お前また背伸びたな」
と、駆の肩に腕を回す。
駆は俊と同じくらいの背丈になっている。
駆「俊は逆に縮んだんじゃない?」
俊「お前のツンデレも相変わらずだな〜」
俊は犬にするように駆の頭をわしゃわしゃ撫でて可愛がる。
駆「あーーウザイ」
と、嫌がる。
紗也佳「ハハッ。なんかこの感じ懐かしい」
俊「改めてサヤ、カケル。ただいま!」
紗也佳・駆「おかえり、シュン」
俊「じゃあ久しぶりに1on1やろうぜカケル」
駆「はいはい」
と、言いつつもワクワクしている。
紗也佳はベンチから見学。
駆が先攻、どう攻めるか考えながらドリブル。
俊は少し腰をかがめて構える。
俊「お前らまだ付き合ってなかったんだな」
と、紗也佳の方を見て手を振る。
もちろん紗也佳に会話は聞こえていない。
駆「……うるさい」
俊「なんで告んないのか意味分からん。一体何に遠慮してんの?」
駆と俊の会話が聞こえない紗也佳は不思議に思う。
紗也佳(あの2人、何話してるんだろ……?)
駆「俺はただ……! 俺の気持ち押し付けて困らせたくないんだよ。サヤには好きな人いるから」
俊「好きな人、ね。お前それ本気で言ってる?」
駆「……どういう意味だよ」
俊「サヤが誰を好きだとしても、自分の好きな子が他のやつの隣で笑ってて、カケルはそれで我慢できんのかって話。俺は絶対無理だわ〜」
駆はぐうの音も出ない。
紗也佳「カケルー! いい加減ボール持ちすぎだよー!」
紗也佳の声が聞こえて駆が一瞬緩んだ隙に、俊がボールを奪う。
俊「恋愛もバスケと一緒。奪い合いだよ」
駆「!」
俊が一気にダンクシュートを決める。
紗也佳「シュンすごい! ナイスシュー!」
と、立ち上がって拍手している。
俊「俺、本気出すよ。今のカケルには負ける気しねーわ。バスケも、恋愛も」
駆にそう言い残して、俊は紗也佳の方に走って行く。
紗也佳と俊は楽しそうにハイタッチしている。
駆(奪い合い……)
と、笑顔の紗也佳を見る。
(続く)



