【マンガシナリオ】脈ナシかと思ったツンデレ幼馴染は、今日も私を溺愛する

〇(回想)空港・出発ロビー

紗也佳(16)と駆(15)が俊(17)を見送りにくる。
紗也佳は寂しさで目を潤ませている。

駆「もしかして泣いてんの?」

紗也佳「泣いてない!」

駆「泣いてんじゃん」
と、服の袖で紗也佳の目尻の涙を拭う。

紗也佳「……だって寂しいよ。3人はいつも一緒だったから……」

駆「10か月なんてあっという間だよ」

俊「そうそう。テレビ電話とかしような」
と、紗也佳の頭に手を置く。

紗也佳「うん!!」

駆は2人から視線を逸らす。

(回想終わり)


〇駆の家の前(朝)

駆がドアを開けると家の前で制服の紗也佳が待っている。

紗也佳「おはよ!」

駆「……はよ」

気まずい空気が流れる。

紗也佳(今まで通り普通に話せばいいんだよね。普通に……)

駆は紗也佳をチラッと見て、

駆(気遣わせてんだろうな)

紗也佳「(思い出したように)そうだ! 昨日ねシュンとビデオ通話したんだけど、帰ってくる日決まったって!」

駆「ほんとに電話してんだ」
と、ボソッと呟く。

紗也佳「ん? 何か言った?」

駆「いや、何も」

紗也佳「ほんとカケルの言った通り、10か月なんてあっという間だったね」

駆「あんなにメソメソしてたくせにな」

紗也佳「メソメソなんてしてないよ! メソくらいだったよ」

駆「何だよそれ」
と、思わず笑みがこぼれる。

それを見てホッとする紗也佳。

紗也佳(良かった。いつも通りの私たちだ)


〇高校・下駄箱(朝)

紗也佳が下駄箱から上履きを取り出そうとすると、手紙が入っている。
中を読もうとすると、後ろから駆が手紙をすっと取る。

駆「まだ下駄箱に手紙入れる人いるんだ」
と、中身を読み始める。

紗也佳「ちょっと!」

駆「えー、『2人で話したいことがあります。昼休み中庭のベンチで待ってます』だって」

紗也佳「読み上げなくていいから! 返して」

しかし紗也佳の手は届かない。

駆「この古川って誰? 知り合い?」

紗也佳「隣のクラスの人。去年委員会が一緒でちょっと話したの。確かサッカー部の人で」

駆「あーダメダメ。サッカー部なんてチャラいヤツがやるスポーツだから。そんなヤツやめた方がいい」

紗也佳「ねぇ、全国のサッカープレイヤーに今すぐ謝って?」

駆「そいつのこと好きなの? 付き合うわけ?」

紗也佳「なんでいきなりそんな話になるの!」

駆「だってこんなの絶対告白じゃん。今どき小学生でも分かるよ」

紗也佳「ないない。古川くんとはそういうんじゃないから。多分何か相談があるんだよ」

駆「じゃあもし告られたら本人にちゃんと言えんだよな? 『古川くんとはそういうのじゃないから』って」

紗也佳「もーガミガミうるさいな! とにかく、これは私の手紙なんだから。どうするかは私が決める!」
と、言い切って行ってしまう。

駆は納得していない表情。


〇高校・1年の教室

駆は時間と窓の外の中庭を気にしている。

男子「カケルー昼食いに行こーぜ」
と、駆の席にやってくる。

駆「あぁ」
と、心ここに在らず。

男子「何? なんか見えてんの?」
と、窓の外の中庭を覗き込む。

その時、駆が何かを思いつく。

駆「あ、サッカー部!」
と、男子を指差す。

男子「人を指差すな」

駆「サッカー部の2年に古川っているよな? どんなヤツ?」

男子「一応先輩なんだから呼び捨てやめろ」
と、駆の頭をチョップする。

駆「俺の先輩じゃねーし」
と、拗ねる。

男子(子供かよ)

男子「(呆れながら)で、古川さんな。リーダーシップあるしサッカー上手いし勉強もできる」

駆「へー」
と、つまらなさそうに机に頬杖をつく。

駆(あークソ。聞かなきゃ良かった)

男子「でもいい人か悪い人かで言ったら、クズな人」

その瞬間、駆の顔色が変わる。

駆「は?」

男子「とにかく女癖がチョー悪い。平気で何股もかけて、女子何人も泣かせてきたらしい」

駆(マジで俺の言った通りじゃんかよ!)

駆がグッと拳を握りしめる。


〇高校・中庭

ベンチに座って会話する古川と紗也佳。

古川「実は一目惚れだったんだ。去年委員会で会った時から」

紗也佳(まさか本当にカケルに言われた通りになるなんて……!)

紗也佳「あ、ありがとう。でも私まだ古川くんのことあまり知らないから……」

古川「だから付き合いながら確かめていこう? 俺ら相性いいと思うんだ」
と、距離を詰める。

紗也佳(付き合ったら古川くんのこと好きになったりするのかな私……)

紗也佳が答えようとした瞬間。

駆「こんなとこにいた」
と、紗也佳を後ろから抱きしめる。

紗也佳(カケル……!? なんで!)