○(回想)バスケコート
四ノ宮駆(6)と今井俊(8)がバスケをしているのを、ベンチに座って応援する楠見紗也佳(7)。
紗也佳はトップでまとめたお団子ヘアがトレードマーク。
紗也佳【私たちはいわゆる幼馴染。学年は1つずつ違うけど、子供の頃からいつも3人一緒にいた】
駆が俊からボールを奪ってゴールを決める。
俊「くそぉ〜とられたぁ! カケル、上手くなったな」
俊が拳を差し出すと、駆も自分の拳を合わせる。
紗也佳「カケルすごい! ナイスシュー!」
と、立ち上がって拍手する。
駆「(照れながら)サヤもやってみれば?」
と、ボールをパスする。
紗也佳「カケル教えてよ」
駆「しょうがないなー」
と、紗也佳の後ろから手を添える。
駆「まずこうやってボールを構えて、左手は添えるだけ」
紗也佳「うん」
駆「あの四角の角見える? あそこに当たるように投げれば絶対入るから。いくよ、せーのっ!」
紗也佳と駆がジャンプして手からボールを押し出すと、ボールは綺麗な放物線を描いてゴールネットに入る。
紗也佳「やった! 今の見てた!? 私入ったよ!」
と、飛び跳ねる。
俊「イエーイ!」
と、拳を合わせる。
紗也佳「カケルは……!? どうだった私のシュート」
と、期待の眼差しで駆を見る。
駆は仕方ないなという顔をしながら、
駆「ナイスシュー、サヤ」
と、紗也佳に拳を向ける。
紗也佳「(嬉しそうに)ふふっ。ありがとう」
と、満面の笑みで駆の拳に自分の拳を合わせる。
紗也佳【まさかこの10年後、私たち3人があんなことになるなんて、この頃は思いもしなかった】
(回想終わり)
〇駆の家の前(朝)
高校の制服を着た駆(15)が玄関から出てくる。
身長は180センチ近い。
紗也佳「おぉ〜似合うねうちの制服!」
駆「元がいいから何でも似合っちゃうんだよな〜俺」
紗也佳【この自信過剰な男は四ノ宮駆。この春からうちの高校の1年生になった】
紗也佳「はいはいカッコいいですねー。そうだ写真撮んないと。シュンに頼まれてるの」
と、駆にスマホのレンズを向ける。
すると駆が紗也佳のスマホのレンズを手で覆う。
駆「盗撮はやめてくださーい。そういうの事務所NGなんで」
紗也佳「いいじゃん写真くらい。ケチー! そもそも事務所なんて入ってないでしょーが」
紗也佳がぷんぷん怒っていると、駆が自分のスマホをインカメにして、自分と紗也佳を自撮りする。
駆「撮りまーす。はいチーズ」
紗也佳「えっ!?」
撮れた写真は、ピースして楽しそうな駆と、半目の紗也佳。
駆「この顔サイコー。1週間は笑えるわ」
と、腹を抱えて大笑い。
紗也佳「撮り直してよ! カケルだけ盛れてるのズルい!」
駆「シュンにはこの写真送っとくよ」
紗也佳「ちょっと!? 絶対送っちゃダメだからね!」
紗也佳が駆からスマホを奪い取ろうとジャンプするが、駆が手を高く伸ばすため届かない。
駆「ほらーそれじゃあ全然届かないぞー」
と、紗也佳の反応を楽しんでいる。
紗也佳【この男、完全に私のこと舐めてます】
〇電車の中(朝)
ラッシュで混み合う電車内。
駆「さっきから思ってたんだけどさ、そのスカート短くしすぎじゃね?」
紗也佳「高校生はこれくらい普通だよ」
駆「お気に入りのクマさんパンツ見えてる」
と、紗也佳に耳打ちする。
その瞬間紗也佳の顔が赤くなる。
紗也佳「幼稚園の時の話じゃん! もうそんなの履いてないから!」
駆「じゃあ今日はどんなの履いてんの?」
紗也佳「今日は……(ハッとして)って言うわけないでしょ!」
駆「ざーんねん。ちなみに俺は白より黒派。エロいやつがいい」
紗也佳「誰もカケルの好みは聞いてないから!」
そんな掛け合いをしながら、駆はスマホで音楽を聞く準備をする。
紗也佳は駆の画面を覗き込む。
紗也佳「それ私がおすすめした曲? 買ってくれたんだ!」
駆「まぁ……うん。サヤにしては悪くない趣味だったから」
紗也佳「なんか嬉しい……私にしてはっていうのが余計だけど」
駆「……サヤも聴く?」
と、イヤホンを片方差し出す。
紗也佳「うん、聴く!」
イヤホンをシェアして一緒に音楽を聴く紗也佳と駆。
紗也佳【生意気だしむかつくことも多いけど、なんやかんやかわいい弟みたいな存在なんだよね】
〇高校・教室の前(朝)
紗也佳「じゃあ私はここだから」
駆「んー。あ、今日部活の後先輩たちとご飯行くから夜は大丈夫っておばさんに伝えて」
紗也佳「分かった。頑張ってねー!」
と、手を振って別れる。
紗也佳が教室に入ると、クラスの女子たちが紗也佳の周りに集まって質問攻めにされる。
女子「ちょっとお話しいいですかー?」
女子「なんでサヤカがカケルンと一緒に登校してんの!」
紗也佳「カケルン……ってカケルのこと? 何そのあだ名」
女子「知らないの? カッコよくてバスケが上手い1年が入って来たって全学年で話題なんだよ!」
紗也佳「みんな顔に騙されてるよ〜。アイツは女子の気持ちとか全然分かんないただのバスケバカだよ」
女子「それよりも、サヤカはカケルンと一体どういう関係なの!?」
紗也佳「うちの隣に住んでて、昔から家族ぐるみで仲良いだけだよ」
女子「確か今留学中のイマシュン先輩とも幼馴染じゃなかった?」
女子「羨ましすぎる〜」
女子「幼馴染ってことはさ、実は付き合ってたりするんでしょー?」
「幼馴染」「付き合ってる」の言葉が胸にグサグサと突き刺さり、ダメージを喰らう。
そこへ見かねた親友の理子が助けに入る。
理子「まぁまぁみんなその辺にしてあげてよ」
と、紗也佳を席に連れて行く。
紗也佳は自分の席で机に項垂れる。
紗也佳「なんでみんな男女の幼馴染=恋愛ってなるの!? それは少女マンガの話だよ〜」
理子「あの子がサヤカの10年間片思いしてる幼馴染か。やっと見れた」
紗也佳「ちょっとリコ! それはシーっ!」
と、慌てる。
紗也佳【そう。私は駆にずっと片思いしている。気持ちを伝えられないまま早10年。みんな簡単に『幼馴染』って言うけど、幼馴染だからこそ簡単には言えないことがあるんです】
理子「あんまりモタモタしてると、誰かに掻っ攫われちゃうぞー」
紗也佳「分かってるけどぉ……」
と、口をへの字にする。
四ノ宮駆(6)と今井俊(8)がバスケをしているのを、ベンチに座って応援する楠見紗也佳(7)。
紗也佳はトップでまとめたお団子ヘアがトレードマーク。
紗也佳【私たちはいわゆる幼馴染。学年は1つずつ違うけど、子供の頃からいつも3人一緒にいた】
駆が俊からボールを奪ってゴールを決める。
俊「くそぉ〜とられたぁ! カケル、上手くなったな」
俊が拳を差し出すと、駆も自分の拳を合わせる。
紗也佳「カケルすごい! ナイスシュー!」
と、立ち上がって拍手する。
駆「(照れながら)サヤもやってみれば?」
と、ボールをパスする。
紗也佳「カケル教えてよ」
駆「しょうがないなー」
と、紗也佳の後ろから手を添える。
駆「まずこうやってボールを構えて、左手は添えるだけ」
紗也佳「うん」
駆「あの四角の角見える? あそこに当たるように投げれば絶対入るから。いくよ、せーのっ!」
紗也佳と駆がジャンプして手からボールを押し出すと、ボールは綺麗な放物線を描いてゴールネットに入る。
紗也佳「やった! 今の見てた!? 私入ったよ!」
と、飛び跳ねる。
俊「イエーイ!」
と、拳を合わせる。
紗也佳「カケルは……!? どうだった私のシュート」
と、期待の眼差しで駆を見る。
駆は仕方ないなという顔をしながら、
駆「ナイスシュー、サヤ」
と、紗也佳に拳を向ける。
紗也佳「(嬉しそうに)ふふっ。ありがとう」
と、満面の笑みで駆の拳に自分の拳を合わせる。
紗也佳【まさかこの10年後、私たち3人があんなことになるなんて、この頃は思いもしなかった】
(回想終わり)
〇駆の家の前(朝)
高校の制服を着た駆(15)が玄関から出てくる。
身長は180センチ近い。
紗也佳「おぉ〜似合うねうちの制服!」
駆「元がいいから何でも似合っちゃうんだよな〜俺」
紗也佳【この自信過剰な男は四ノ宮駆。この春からうちの高校の1年生になった】
紗也佳「はいはいカッコいいですねー。そうだ写真撮んないと。シュンに頼まれてるの」
と、駆にスマホのレンズを向ける。
すると駆が紗也佳のスマホのレンズを手で覆う。
駆「盗撮はやめてくださーい。そういうの事務所NGなんで」
紗也佳「いいじゃん写真くらい。ケチー! そもそも事務所なんて入ってないでしょーが」
紗也佳がぷんぷん怒っていると、駆が自分のスマホをインカメにして、自分と紗也佳を自撮りする。
駆「撮りまーす。はいチーズ」
紗也佳「えっ!?」
撮れた写真は、ピースして楽しそうな駆と、半目の紗也佳。
駆「この顔サイコー。1週間は笑えるわ」
と、腹を抱えて大笑い。
紗也佳「撮り直してよ! カケルだけ盛れてるのズルい!」
駆「シュンにはこの写真送っとくよ」
紗也佳「ちょっと!? 絶対送っちゃダメだからね!」
紗也佳が駆からスマホを奪い取ろうとジャンプするが、駆が手を高く伸ばすため届かない。
駆「ほらーそれじゃあ全然届かないぞー」
と、紗也佳の反応を楽しんでいる。
紗也佳【この男、完全に私のこと舐めてます】
〇電車の中(朝)
ラッシュで混み合う電車内。
駆「さっきから思ってたんだけどさ、そのスカート短くしすぎじゃね?」
紗也佳「高校生はこれくらい普通だよ」
駆「お気に入りのクマさんパンツ見えてる」
と、紗也佳に耳打ちする。
その瞬間紗也佳の顔が赤くなる。
紗也佳「幼稚園の時の話じゃん! もうそんなの履いてないから!」
駆「じゃあ今日はどんなの履いてんの?」
紗也佳「今日は……(ハッとして)って言うわけないでしょ!」
駆「ざーんねん。ちなみに俺は白より黒派。エロいやつがいい」
紗也佳「誰もカケルの好みは聞いてないから!」
そんな掛け合いをしながら、駆はスマホで音楽を聞く準備をする。
紗也佳は駆の画面を覗き込む。
紗也佳「それ私がおすすめした曲? 買ってくれたんだ!」
駆「まぁ……うん。サヤにしては悪くない趣味だったから」
紗也佳「なんか嬉しい……私にしてはっていうのが余計だけど」
駆「……サヤも聴く?」
と、イヤホンを片方差し出す。
紗也佳「うん、聴く!」
イヤホンをシェアして一緒に音楽を聴く紗也佳と駆。
紗也佳【生意気だしむかつくことも多いけど、なんやかんやかわいい弟みたいな存在なんだよね】
〇高校・教室の前(朝)
紗也佳「じゃあ私はここだから」
駆「んー。あ、今日部活の後先輩たちとご飯行くから夜は大丈夫っておばさんに伝えて」
紗也佳「分かった。頑張ってねー!」
と、手を振って別れる。
紗也佳が教室に入ると、クラスの女子たちが紗也佳の周りに集まって質問攻めにされる。
女子「ちょっとお話しいいですかー?」
女子「なんでサヤカがカケルンと一緒に登校してんの!」
紗也佳「カケルン……ってカケルのこと? 何そのあだ名」
女子「知らないの? カッコよくてバスケが上手い1年が入って来たって全学年で話題なんだよ!」
紗也佳「みんな顔に騙されてるよ〜。アイツは女子の気持ちとか全然分かんないただのバスケバカだよ」
女子「それよりも、サヤカはカケルンと一体どういう関係なの!?」
紗也佳「うちの隣に住んでて、昔から家族ぐるみで仲良いだけだよ」
女子「確か今留学中のイマシュン先輩とも幼馴染じゃなかった?」
女子「羨ましすぎる〜」
女子「幼馴染ってことはさ、実は付き合ってたりするんでしょー?」
「幼馴染」「付き合ってる」の言葉が胸にグサグサと突き刺さり、ダメージを喰らう。
そこへ見かねた親友の理子が助けに入る。
理子「まぁまぁみんなその辺にしてあげてよ」
と、紗也佳を席に連れて行く。
紗也佳は自分の席で机に項垂れる。
紗也佳「なんでみんな男女の幼馴染=恋愛ってなるの!? それは少女マンガの話だよ〜」
理子「あの子がサヤカの10年間片思いしてる幼馴染か。やっと見れた」
紗也佳「ちょっとリコ! それはシーっ!」
と、慌てる。
紗也佳【そう。私は駆にずっと片思いしている。気持ちを伝えられないまま早10年。みんな簡単に『幼馴染』って言うけど、幼馴染だからこそ簡単には言えないことがあるんです】
理子「あんまりモタモタしてると、誰かに掻っ攫われちゃうぞー」
紗也佳「分かってるけどぉ……」
と、口をへの字にする。



